マネジメント1年生の私が部下育成のために始めた5つのこと(後編)
マネジメント1年生の私が部下育成のために始めた5つのこと(後編)
下記の記事を書いてからしばらく経ちました…
放置していたわけじゃないのですが、短期間で色んなことが起こり、新たに内省する機会があったり…と執筆を先延ばしにしてしまいました。
前回の記事で申し上げた通り、私は元々マネジメントに関わるつもりで今の会社へ転職したわけではありません。
自分で言うのもなんですが、自分自身である程度プレイヤーとしての業績は残せていましたし、ある意味そのレベルで満足していました。
しかし、仮に私の今の売上が10億円とし年齢を35歳とします。
5年後、私が40歳になったとき今の売上10億円をキープできるでしょうか。
そして、私が今の会社を去ったとき、私は会社に何を残せたと自信をもって言えるのでしょうか。
そう考えると、結局はどの社会人もマネジメントは不可避なんだと思います。
で、実際に始めた5つのこと
①仕事の確認をすることをやめ、部下から私に報告する形式を導入した
部下に今の仕事の進捗を確認したり、何をしているかを確認しているマネージャーは多いのではないでしょうか。私もそうだったのですが、ある日”なぜ部下の仕事を私が確認しているのだろうか?”と疑問に思い始めました。
確認という言葉を使っていますが、実際に多くのマネージャーの行動は監視に似ていると思います。しかし、監視を行う仕組を作ると部下は自分の仕事に責任を持たなくなります。自分で自分の仕事を考えることがなくなるため、自分の仕事に責任感を持たなくなるのは当然です。
ですので、部下の仕事を確認することを放棄し、代わりに部下に
『今日は~~なので~~をします』、
『~~だと思うので、今日はこのようにプロジェクトを進めます』
という報告形式で行うように伝えました。
ちなみにここで重要なのが、報告書はNGです。報告書を作る時間があれば、自分のアイデアを実行に移してほしいので、報告書を作った時点で私のチームでは丸亀うどんをおごる刑が下されます。
②部下に権限を委ねる
部下に仕事を任せるのであれば、その仕事に関して私は一切の権限を放棄します。もちろん最終責任を取るのは私です。部下に権限を委ねる理由は、部下に”今行っている仕事は自分の責任、この仕事を成し遂げるのが自分の責任だ”という強い自覚を持ってもらうためです。
上司から命令され、命令された通りする、そういった仕事は本当の意味で自分の仕事だとは誰も思わないはずです。自分の仕事だと思わない限り真剣にはなりませんし、責任を取ろうとは思いません。部下に権限を委ねる際は、それが部下の仕事なので私はノータッチであること、そしてその仕事を成し遂げるのが部下の責任であることを明確に伝えています。
ここで私たちマネージャーが監視すれば、部下の責任感を打ち砕きます。部下の仕事の進め方が私たちの仕事の進め方と違っても、我慢して目をつぶる。ここで口をはさめば、それは『部下の仕事を奪ったこと』になります。そして、もっと重要なのが、委ねたのであれば部下ならできると信じ切ることです。
③委ねるために知識と技能を高める
前後しましたが、権限を委ねるには部下にそれ相当の知識と技能があることが前提です。言われたことをするだけでいいのであれば、部下は自分に必要な知識を得ようとしません。しかし、権限を委ね、部下に物事を判断する力を高めてもらいたいのであれば、判断のもとになる確かな知識が必要になります。
知識に関しては、研修やOJTなどいろんな方法がありますが、私のチームでは週1のMTGでプロジェクトの進捗発表や事例を共有しています。
その時に、チーム全員がそのプロジェクトにいろんなツッコミや質問を行います。その時に現在作成している資料などを事前にチーム全員に共有し、チームの人間は30分~1時間の時間を取り、その資料で分からないことなどをメモし、MTGで議論します。
ちなみにこのMTGが果たして重要かというと、実はそこまで重要ではなく、『MTGでいろいろ質問されるので、分からないところがないか確認しよう』という行動に誘導することが目的だったりします。
なので、MTGの前は部下から質問が来ることが多いので、その時だけ知識レベルの確認を行い、足りない知識は教えるということを行っています。
④役割認識を持たせる
部下にはあきれるほど、なぜ部下が私のチームに必要なのか、部下のチーム内での役割は何なのか、何を期待しているのかを何度も伝えています。
これは私の過去の経験がベースになっているのですが、たとえどんなに稼いでいても『組織に必要されている』と思えなければ、仕事のモチベーションはすぐに消え去ります。社員が仕事を辞めたいと思う理由の一つに『自分の仕事、ポジションが認められていない』があります。割愛しますが、私も一度似た経験をしたため間違っても部下に同じような気持ちを味わわせたくありません。
責任を追及することも大切ですが、役割認識を持たせることで承認欲求を満たすこともマネージャーの仕事ではないでしょうか。
⑤まじで部下を幸せにしようと誓った(笑)
冒頭で申し上げた通り、私程度の人間ができることは限られていますし、大したことはありません。
何度も言いますが、一人でできることなど、本当にたいしたことない。経営とはチームを作り、チームを動かすこと。しかし、利己的なリーダーやマネージャーがチームを動かしている例をこの目で見たことがありません。
部下やアシスタントを自分の目的達成の道具に扱えば、それは簡単に部下に見透かされます。そして、信頼残高は底をつき、彼らは私に協力しようと思わなくなるでしょう。
指示をすればチームメンバーが自分の言うことを黙って聞いて、自動的に動いてくれるなんてことはありません。では、どうしたら動いてくれるのか。
話はそれますが、今の会社に転職したのは直属の上司による引き抜きが理由です。実は前職に不満も不安もなかったのですが、上司の熱意に心がとてつもなく動かされ、『残りの人生この人に賭けてもいいな』と腹の底から思ってしまったんです。
その時、上司に『絶対に私を幸せにするし、それに命をかける』と言われ、前職で猛反対にあったものの転職を決意しました。我ながら英断だったと思います。
話は戻りますが、上司が私に誓ったように、私もチームを幸せにすると誓わないと誰も私を信頼しないし、私に協力してくれないと心から思いました。実際に私には年上のアシスタントがいるのですが、過去に『私がこの会社にいる限り、あなたのポジションは守ります』と本気で言ったことがあります(笑)
100%で部下に関与しないと、部下は変わりません。私が上司と出会って変わったのも、やはり彼が全身全霊で私に関与したからだと信じています。『部下を幸せにする』なんて大げさに聞こえるかもしれませんが、部下の未来を明るくするのもマネージャーの仕事の一つではないでしょうか。
チームを引っ張ることになってから、山あり谷あり。正直、辛いことが多いです。感謝の言葉もほとんどない。でも、それが欲しくてやっているわけではありません。私も一人の人間なので、感情的になりますし、腹が立ち、自分の部屋の中でドタバタすることもあります(笑)
でも、いいじゃないですか。結果、部下が幸せになってくれさえすれば。
たゆ